どうもよよよです
今日は午前中、親知らずを抜きに行ったよ
ドキドキして昨日あまり眠れなかった
つい予約の20分前に歯医者に着いてしまう
診察券と保険証を受付に出す
おばさんがにこやかにおはようございます、と挨拶してくれた
面食らってアッ、ドウモ...とどもりながら言ってそそくさと待合室のソファに座る
はぁ帰りたい...
手持ちぶさたで小児用絵本に手を伸ばす
幼い頃はこうやって「たこ焼きマントマン」の絵本を読んで病院の待合室で不安な気持ちを誤魔化していたっけ...
たこ焼きマンは分かるけどそのあとのトマンってなんなんだろう、名前かな?とあの頃はずっと疑問に思ってたわ
それをきっかけに走馬灯のように今までの思い出が駆け巡った...
初めてFF7をプレイした時の衝撃
スマブラが仲間内で一番強かったので地域の大会に出たらボコボコにされ泣いて帰ったあの悔しさ
家族でマリオカートで遊んだ思い出...
うう...思い出がゲームの事しかない...
薄っぺらい人生...
中身がない自分の半生に涙していると、よよよさーん、と中から声が...
年貢の納めどきか
中へ誘われ拷問椅子みたいなのに座らせられる...SAWで見たわー
レントゲンを撮って、
「どうします?今日抜きますか?」と先生が言う
今日は夜勤だが、ここで帰ったら生殺しだ
僕は自分にとって嫌な行為そのものよりもその待ち時間でいろいろ想像してしまい精神が参ってしまうタイプだ
今日抜いてください、と決死の覚悟でお願いする
僕の覚悟を知ってか先生は分かりました、頼もしく頷いてくれた
その後、打った麻酔が効いてきて、
口の感覚がない!変な感じだなぁ、
と舌で頬の内側をぐりぐりして遊んでいると後ろから「麻酔効きましたか」と先生
矢沢永吉のモノマネをしていると思われたかもしれない、恥ずかしい
いよいよペンチのような器具を口に突っ込んで、にっくき親知らずを先生が捕らえる
頭の中でメキキッと嫌な音がする
麻酔は効いてるのに痛みがする
なかなか頑丈に出来ているらしくなかなか取り出せない
健康な自分の歯がうらめしい
時折、先生が立つ位置を変えたり器具を突っ込む角度を変えたりしている
その度に僕の首はグルグルと角度が変わる
オッサンにこんなに顔をガッツリ掴まれることってそうそうないかもしれない
もうどうにでもしてって感じだ
疲れたのか、一旦フーッと深呼吸して一息つく先生
今、神経と歯が引き剥がれるギリチョンの一番痛いタイミングなんです!先生!
そんなこんなで抜歯に成功し、血が止まるようにガーゼを噛んでくださいと促される
終わった...
やったー!俺はやったんだ!
お疲れ様でした、と先生
いやいや、あなたがお疲れ様でした、と喋れないので心の中で感謝を述べる
先ほどの受付で薬をいろいろと渡される...
ところで、さっき噛まされたガーゼが絶妙に僕の喉の手前の「えずきポイント」を刺激して、説明を受けているあいだずっとヴォ...ヴォ...と重低音ボイスが止まらない
矢沢永吉からデスメタルまで嗜むのね、と生粋のロック好きだと思われたかもしれない
とにかく俺は難題をクリアした!俺は自由だ!
「とりあえず明日は抜歯した穴を洗浄しに来ていただいて...もう一本のほうは来月ですね~」
えっ?もう一本?
そう...口の右奥に鎮座する、左のものより少し斜めに生えた親知らず...
コイツが後にあんな悪夢を引き起こすだなんて、この時の僕にはまだ分からなかったんだ...
つづく...