セミリタイア老師 人生よよよのゆったり余生セミリタイアブログ

後進の育成も終わり、ひたすら死を待つブログ

貧乏人は何も変えられないから貧乏人なのだ

どうもよよよです

日記

アマプラで話題作、韓国映画「パラサイト 半地下の家族」を見た

面白かった、ネタバレありで感想を書きたい

ダレるシーンがない、というのがすごい、構成を練りに練ってあるのだろう

ジャンルはスリラードラマという事で、重苦しい雰囲気なのか?と思いきや、ときおりギャグも挟んで緊張を緩和してくる

半地下といういわゆるスラム暮らしの貧乏家庭が金持ちの家庭に徐々に侵食し、溶け込んでいこうとするのがメインの線

一見、荒唐無稽なあらすじで、ところどころ「うまく行き過ぎ、都合が良すぎ」と思う場面もあるが、そのおかげでテンポを失っていないと考えればその点は好意的に捉えられる

この映画は象徴的な表現が多いと感じた

実家が半地下なので当然かもしれないが、半地下家族は階段を駆け下りるシーンや坂を下っていくシーンが象徴的に描かれていて、身分を証明しているかのようだ

後でコメンタリを見ると「カメラワークにはとても気を使った」とあるのでやはりなと膝を叩いて納得した

下水が吹き出すトイレの上でたばこをふかす半地下娘のシーンも社会の底辺家族の酷い暮らしを象徴しているかのようで印象的だ、そんな酷い状況なのにどこかスタイリッシュを感じるセンスが〇

象徴的といえば、全編を通して「半地下の臭い」というワードが出てくる

それは金持ち家庭が半地下家族に対して使う言葉で、「なにか変な臭いがするな」などと言い出す

半地下家庭はいい洋服を着て丁寧な言葉を使い、金持ち家庭を完璧に騙しているにも関わらずどうしても身体から拭えない「半地下の臭い」は韓国の身分格差の固定、を表しているように思えた

終盤その臭いに金持ちパパが耐えられず顔を歪めたことで半地下父がキレる、というのはつまり富裕層から貧困層への隠し持っている侮蔑にキレたことを表しているのだ

そうした象徴的なシーンの数々がこの映画を奥深いものへと昇華しているのは間違いない

金持ち家庭も決して性格が悪い家族ということではない、しかし金持ちならではの傲慢さは隠しきれていない、絶妙なラインでナチュラルに格差を感じる言動をするところなど、現実の金持ちに通ずるところがありとてもリアル

「悪気はないんだろう」と思いながらも、いい感じにイライラする家庭だ

そうした家庭に半地下家族が痛快に復讐する、で終わらないのがこの映画で

ラストの「いつか家を買って迎えに行きます」と語る主人公のシーンも「それは結局どうにもできないってことなんだな」と半地下はあくまで半地下、金持ちに溶け込める優秀な人間でも格差の固定からは逃れられない哀愁ただようラストとなっている

俺も半地下無職として貧乏人側に肩入れしながら見ていたが、ラストも納得、貧乏人は何も変えられないから貧乏人なのだ

半地下の皆さんもこの映画をみるべきです

この監督の前の作品もそのうち見てみたいですね